【Vol4】Marketing Media Lab

ビジネスやマーケティングに役立つ記事やノウハウをお届けするニュースレター「Marketing Media Lab」第4号です。
エルモ@広告屋 2021.02.27
読者限定

2月に始めたニュースレター。

どうにか第4回の配信までたどり着くことができました。想像以上にご好評いただき、有り難いかぎりです。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、Marketing Media Lab 2月最終週のニュースレターです。どうぞ。

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Marketing Media Lab 
Vol.4
( 2021年2月27日発行 )
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■目次■
…1. Weekly Marketing News
…2. マーケティングの引き出し
…3.今週のクリエイティブ
…4. 今週の1冊
...5.今週の雑談
…6. Q&Aコーナー
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1. Weekly Marketing News

Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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電通が「2020年 日本の広告費」を発表!

電通ニュースリリースより

電通ニュースリリースより

今週、電通から「2020年の広告費」が発表されました。

広告費を見れば業界の景気がわかると言われます。というのも、広告予算はすぐに増やすことも減らすこともできる変動費なので、各企業、業界の景気を表す指標になるからです。

広告業界に縁遠い方も、各業界カテゴリーの景気をチェックするという意味で、広告費の変動は知っておいて損はないファクトです。ぜひいちど、チェックしてみてください。

以下が、2020年の概況です。

◆2020年の総広告費は、通年で6兆1,594億円(前年比88.8%)となった。3月以降、新型コロナの影響により国内外の人の動きが制限され、4月に発出された緊急事態宣言以降、日本経済は大きく減速。前年までのインバウンド消費がほぼなくなり、外出自粛により外食、交通・レジャーを中心に大きなダメージを受け、広告業界もその余波を受けた。政府や自治体主導の経済対策・感染対策が取られていく中、7月以降は徐々に回復の兆しを見せ始め10-12月には前年並みに戻りつつあったが、通年では前年を大きく下回った。

マスコミ四媒体広告費 2兆2,536億円(前年比86.4%)
インターネット広告費 2兆2,290億円(前年比105.9%)

「地上波テレビをネット広告が越えた」というニュースが出ましたが、2020年は4マス広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)のトータルにネット広告が肉薄しています。これが一番の衝撃でした。

あらためてコロナは、4マスの寿命を縮め、デジタル全盛期到来をはやめた存在だと思います。コロナが収束しても、完全にオフラインな生活に戻ることはありませんし、2020年-2025年の間にオフラインとデジタルの主従関係が逆転するんだろうなと、この発表を見て感じました。

アフターデジタル オフラインのない時代に生きる より

アフターデジタル オフラインのない時代に生きる より

「デジタライゼーション」の本質は、デジタルやオンラインを「付加価値」として活用するのではなく、「オフラインとオンラインの主従関係が逆転した世界」という視点転換にあると考えます。完全なオフラインはもはや存在せず、デジタルが基盤になるという前提に立った上で、いかに戦略を組み立てていけるかという思考法が必要不可欠になります。

 4マスに携わっている人は、市場規模の縮小という不可逆変化にどうリスクヘッジするか、デジタル広告にかかわっている人は、この市場の中でどう成長に乗っかるかを考えるときに来ていると思います。

D2Cブームの裏で起きている悪どい商売の取り締まり強化

次に、悪徳商売の規制について。

D2Cブームが進むなかで、着々と商売環境は厳しくなってきています。(悪いことをしているので、罰を喰らって当たり前なのですが)

D2Cビジネスの95%は「単品リピート通販」です。つまり、一度の売上で原価や販管費を回収するのではなく、定期モデルで毎月売上を立てることで、利益をあげていくビジネスモデルになっています。

■ビジネスモデルの違いによる売り上げの差
・1回売り切り:3,000円
・12ヶ月定期  :3,000円×12ヶ月=36,000円

このように、一回売り切りと定期では、売上が何倍も変わってくるので、D2C側としては、是が非でも「定期契約」したいわけです。

別に、定期モデル自体は悪徳ではないのですが、「初回無料商品を買ったつもりが12ヶ月分まとめての契約だった!」なんて悪どい商売をしてるプレイヤーがたくさんいるんですね。

今回のニュースは、「そういった人たちを厳しく取り締まりますよ!」って話です。

ちなみに、D2C業界では、初回から定期購入することをワンステップマーケティングといい、初回お試し→2回目定期購入のことをツーステップマーケティングと呼ぶのですが、一応潮流は2STEPで売ることだそうです。

個人的に、2STEPマーケティングは「真に良いプロダクトが売れる」世界に近づくので良いことだと思っています。しかしその一方で、流入チャネルや手法ハックで急成長してきたD2Cブランドは淘汰されていくだろうなとも感じております。

メディアとコンテンツビジネスのあり方を問う二人の対談

哲学家の東さんと経済学者の楠さんの対談記事です。

ネットで人気を獲得するリスクについて語った話が、実に面白かったのでその文章を一部引用して紹介します。

 【楠木】人気は微分値、隣り合った2時点間での変化の大きさに注目します。これに対して、信用は積分値です。時間幅がずっと長い。時間をかけた蓄積の中で信用は徐々に大きくなる。人気があれば何でもできるような錯覚を覚えるものですが、それは短期間しか続きません。信用と人気は違うだけでなく、トレードオフの関係にもなる。手っ取り早く人気を稼ごうとすると、かえって信用を得られないどころか、むしろ失う結果になる。

【楠木】これだけ人間が長生きする時代、刹那的な発想より、長期的な発想のほうがますます合理的なはずなのに、信用を犠牲にして人気を取りにいく刹那的な人たちが増えている。「商魂たくましい」ということではありません。むしろ逆で、純粋に商売的な見地からしても非合理な方向に進んでいるように思います。

【東】一発屋狙いの人はどの時代にも一定数いるけれど、スケールを追求する現在のグローバル・プラットフォームは一発屋にとくに向いているメディアです。ただ、そのことをみんなが意識していない。

ここでのポイントは、

・ソーシャルの人気度は微分(その瞬間の傾き)
・グローバルメディア(SNS)は一発屋を優遇する
・しかし、最後まで面倒を見てくれるわけではない

私もネットで情報発信をする一人として、「人気をとりに行き過ぎない」を心掛けています。(人気者になれない言い訳でもあります笑)

とくにSNSはアテンションエコノミーで、「今ここ」で一番盛り上がっている人をピックアップし続けるメディアです。調子が良い時はたくさんの注目を浴びるメリットがあるのですが、別の人気者が現われたら、その人に取ってかわられてしまいます。

これ、別にプラットフォームが悪いという話ではありません。人気商売は人の「ハマり」に依存しているわけで、当然の帰結として、ハマりの先にある「飽き」がオチとなってしまうのです。

このあたり、ネット芸人や情報発信者としてどう寿命を延ばしていくか?は、議論が尽きない悩みではないでしょうか?

参考図書:勝間和代
有名人になるということ

競争優位性を保ち続けるべきなのは、個も同じ

先程の一発屋の話、その対極にある存在が「長期に渡って競争優位性を保つこと」です。Moatは、ウォーレンバフェットがビジネスにおいて何よりも大切な概念として訴えているよう。

 最も大切なこと、私たちが常に探し続けているものは、"広く、長い期間続く堀(Moat)"と、それが守る"素晴らしい事業という城"、そしてその城を司る"誠実な城主"です。本質的に、それがビジネスの全てです。
(1995年のバークシャーハサウェイ株主総会)

こちらのnoteでは、この中長期的な競争優位性を得るMoatを獲得する要素を10個紹介しています。

著者は、「流動性や競合参入の観点から、大企業よりもスタートアップこそMoatが大切だ!」と訴えているのですが、それをいうならば、「大企業よりもスタートアップ、スタートアップよりも個人にとってMoatが大切だろ!」と私は言いたい

いまや個人プレイヤーとして活動する参入コストはゼロ、競合は無限に存在します。さらに、スタートアップや大企業と戦うとなると、資本の力ではボロ負けが確定しています。

だからこそ、私たちは『"広く、長い期間続く堀り、Moat』を築く必要があると思うのです。

一発人気取りというルートもありますが、長い目でキャッシュと信用フローを最大化するという意味で、Moat作りという視点も持っておいた方がいいのではないでしょうか?

さあ、あなたは、どうやって、誰にも崩されないお堀(Moat)を築きますか?

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2. マーケティングの引き出し

マーケティングに役立つ知識や視点、ノウハウをお届けするコーナーです。
知っていたらどこかで役に立つ、折に触れて思い出したい知識をお送りいたします。
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今日は、「マーケティングに使われる定義やノウハウの大半は概念(虚構)に過ぎない」という話をしたいと思います。

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