【Vol18】Marketing Media Lab
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Marketing Media Lab
Vol.18
( 2021年7月19日発行 )
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1. Weekly Marketing News
Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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米国急成長スタートアップの目のつけどころ
米国の(一部イスラエルなども)スタートアップが、「起業初期段階でどこにフォーカスしてサービスをグロースさせたのか?」がインサイト視点で語られている超優良記事です。
複数のスケール事例から、各社の「目の付け所」について知ることができるので、ぜひ本文を読み進めてみてください。
一つピックアップすると、「waze」という企業のスタンスが、現代のグロースハック手法だなと感じました。
最初のうちは「ジャンキー」でOK。
アーリーアダプターをターゲットにしている時は、プロダクトが非常にスムーズでクリーンでなくとも構いません。それでは間違った印象を与えてしまいます。スムーズでクリーンで美しいプロダクトがあったとしても、それが機能しなければ多くの人を失望させることになります。もし、壊れていて不便だけれど、多くの機能を備えたプロダクトを用意していて、それをより良いものにするために協力してくれるアーリーアダプターをターゲットにしているなら、彼らは自分たちがプロダクトにどれほど影響を与えているかを知ることができます。彼らがどれほどより良くしてくれているかを見てもらう。これは彼らにとって非常に重要なことです。
自社サービスへのエンゲージが高く、プロダクト改良に協力的なお客様(いわゆるアーリーアダプター)であれば、荒削りでもプロダクトを使ってもらおうという考え方ですね。
たとえば、先週音声メディアのVoicyがライブ配信機能をローンチして、速攻でサーバーが落ち、サービスが一時停止になっています笑。
それでも、ユーザーの多くは好意的な印象を持っていて、パーソナリティやリスナーが改善点を挙げている光景が多く見られました。(※Voicyヘビーユーザーなので、いろいろ観察しております。)
決済やデータ管理のように「一発の不便」が大ダメージを与えるカテゴリーでは許されませんが、それ以外のtoC向けのジャンルでは、不便や不快をユーザーとともに改善していくのが、今風のビジネススケール方法なのだと思います。
「私はこのサービス開発の一員だ」とユーザー心理を抱かせることこそが、長く使い続けてもらえる、口コミを誘発する一番の要素になる時代ではないでしょうか。オンラインサロン発のビジネスが多数生まれているのも、時代背景とニーズが重なっている気がしています。
米国で流行り始めているローカル特化のSNS
米国で、ローカル特化のSNSサービス「Nextdoor」が急成長していることをご存知でしょうか?
簡単にファクトを並べておくと、
・実名と住所(※携帯の請求書で確認)がないと登録できない
・近所の人たちと繋がるソーシャルメディア
・自宅から一定距離内の人としか交流できない
・米国ですでに6,000万人のユーザーが存在
・エンゲージ率(day/week利用率)はYouTube、Spotify以上
この近所の人たちとしか繋がれない一見不便なソーシャルメディアは「ネットが発展し、現実での人間関係が疎遠になってしまった問題を解消する」ことをサービス思想に置いています。
つまり、「遠く離れた人とたくさん繋がる」これまでのネットカルチャーの揺り戻しで、「近所の人たちと濃ゆく繋がろう」という動きが活発化してきているわけです。
近所の人としか繋がれない制約があるがゆえに、リアル社会の人間関係を拡張したコミュニティがネットを起点に新しく生まれていると言ったらいいでしょうか。
今のInstagramやTwitterには「どうせネットで遠い存在だから」というスタンスゆえ、暴言や誇張した発言が多く見られます。しかしNextdoorのように「明日会うかもしれないご近所さん」とソーシャルでコミュニケーションを取るとなると、過激なコミュニケーションをとることがリスクでしかありません。この構造が心理的安全性を担保したネットコミュニティ作りに繋がっているそうです。
すごく面白いと思いませんか?
まだ日本ではローカルSNSは発達していませんが、「実は近所に面白い人が住んでいて、その方々に会えるチャンスがある」と思うと、一度使ってみたい気持ちになります。
※ちなみに、良いものはパクる主義のFacebookは、これからローカルSNSをローンチすると発表。その名も「Facebook Neighborhoods(Facebook ご近所)」だそうです笑
TSUTAYAのビジネスから見る書籍・出版市場のリアル
蔦屋書店を運営するトップカルチャーが、一部蔦屋店舗でのレンタル事業の撤退を発表しました。
その際に、公表された「中期経営計画 新しい“蔦屋書店/TSUTAYA”へのチャレンジ~新たな収益モデルの創出~」の資料が、出版業界のビジネスを知る有益なデータが盛り沢山でしたので、ご紹介します。
■TSUTAYAと出版業界を取り巻く環境
・TSUTAYAの売上は2013年をピークに減少傾向
・TSUTAYAの主力ビジネスは書籍販売
・日本の本屋さんは20年で半分に
・TSUTAYAの書籍ビジネスは成長カテゴリー
・今後は、コワーキングや雑貨販売にも注力
蔦屋というとおしゃれなカフェつきの空間を作り、急成長しているイメージがありましたが、実態は2013年をピークに売上は落ち続けていたようです。
ちなみに、マクロな出版の市場環境動向は以下のようになっている模様。なんとなく、知っておきたいグラフです。
出版業界の市場規模は電子書籍が頑張っていることもありヨコヨコなものの、紙の市場は確実に落ちてきているという状況です。この影響をモロに受けているのが書店で、リアル書店の数は20年間で半分にまで減っています。
TSUTAYAの場合は、レンタル事業の落ち込みが売上下落の主要因で、書籍ビジネスはいまだに伸び続けています。つまり、大手(Amazon含む)に紙本の売上が集中してきている状況ですね。
個人的には、街の小さな書店を歩くのが大好きなのですが、これから書店消滅の動きに歯止めがかからず、大きな本屋しか生き残れないのは時代の流れでしょうか。個人でやれることと言えば、小さな本屋で積極的に本を買うようにするくらいしかできませんね.....
書籍ビジネスの利益構造についても書かれているので、ビジネスモデルを知るという意味でも、ぜひこちらの中期経営計画書も見てみてください。
その他・今週の注目ニュース
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2. マーケティングの引き出し
マーケティングに役立つ知識や視点、ノウハウをお届けするコーナーです。
知っていたらどこかで役に立つ、折に触れて思い出したい知識をお送りいたします。
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今日は、「オリジナルなブランドを作り上げる着眼点」について書いてみようと思います。
今やマーケティングノウハウは五万と流通しており、役に立つ知識を取り入れても、そう簡単に差がつかないようになっています。これは当たり前の話で、あなたがタダでいますぐ導入できるノウハウは、他社も即導入できるので、結局「おなじ」になってしまうというロジックです。
このような行き着く先が「おなじ(コモディティ)」にならない、オリジナリティを生み出す着眼点を3つ紹介していこうと思います。
それが、