【Vol20】Marketing Media Lab
こんにちは、エルモです。
今週もニュースレター「Marketing Media Lab」をお届けしていきます。
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Marketing Media Lab
Vol.20
( 2021年8月3日発行 )
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1. Weekly Marketing News
Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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個人でも学びたいサイバーのトンデモ決算
サイバーエージェントがトンデモ好決算を発表しました。
事業ポートフォリオ別に見ると、ゲーム事業のウマ娘が急成長しているのが好業績の主要因ですが、普通に広告事業も伸びています。
今回は、「個人でも見習いたいサイバーエージェント事業」の視点で、CAの事業をみていきます。
こちらが、各事業別の成績です。
事業別に見ると、このような形になっています。
広告事業(本業):増収↑増益↑
ゲーム事業:増収↑増益↑
メディア事業:増収↑(いまだ赤字)
労働集約型の広告代理店で働いていると痛感するのですが、サイバーエージェントの事業ポートフォリオは個人事業主(経営者)のお手本だと思います。
というのも、労働集約型のビジネスで自社の基盤を固めつつ、非労働集約型(資本集約型)のビジネスで大きく儲けようとしているからです。
それぞれのビジネスモデルをざっくり区分けすると
広告代理業:労働集約型
ゲーム事業:資本集約型
メディア事業:資本集約型
広告代理業というのは、自社でメディアを持っているわけでもないので、マージンビジネスになるのが基本。CAでいうと、GoogleやYahooなどの広告運用を仲介し、広告運用額の一部が売上になる仕組みです。
実際にやってみると分かるのですが、このビジネスモデルはスケール性が非常に乏しいです。
突き詰めると、自社の売上を上げるには、
①広告主の広告予算が増える(お客さんの単価が上がる)
②扱い広告主の数を増やす(お客さんを増やす)
の2パターンしかありません。
しかし、①を起こせるのは稀で(※成果をあげれば必然的に予算は増えます)、②のお客さんを増やすのが一番簡単に売上を増やす方法となります。
しかし、広告代理業は、人が介する労働集約型のビジネスモデルです。
お客さんの数が10から100に増えると、対応量は10倍になり、必要な人員も単純計算で10倍になってしまいます。
つまり、現場からすると「働けど働けど楽にならない」、経営陣からすると「増やせど増やせど人が足りない」、広告代理業はそういうビジネスモデルだったりします。笑
やっと本題です!
そこでサイバーが永遠の労働集約ビジネスから抜け出すために打っている手が、スケール性のある自社商品の開発です。
それが、ゲームとABEMAのメディア事業ですね。
説明するまでもなく、ゲーム商品もメディアも、お客さんは10人でも10,000人でも、サービス対応の手間はほとんど変わりません。
マネタイズが難しくとも、ある一定ラインを突破すれば、ほぼ同じ管理コストで収益を無限に上げることができるビジネスモデルです。
たとえばゲーム事業で言えば、お客さんが10回課金した場合と、1,000回課金した場合で、人件費は変わりませんが、売上は100倍です。同じくユーザーが100倍に増えても、人件費は変わらずに売上だけが100倍伸びていくでしょう。
この儲けの仕組みは、単純な広告代理業では到底できません。時間をかけてでも、自社商品を持って効率よくお金を稼ぐ大切さをサイバーエージェントの決算が教えてくれている気がします。(私が広告代理業で働いているからかもしれませんが。。)
ちなみに、このCAのビジネスモデルを個人がパクることを、私は「ひとりサイバーエージェント」と呼んでいます。
ウマ娘やABEMAを一人で作り上げるのは無理でも、スケール性のある自社商品を作る方法は、デジタルを駆使すればいくらでもあります(ブログやKindle、YouTubeやInstagram発信もその一つです)。
サイバーエージェントの成長の歴史には、個人が学ぶべき点がたくさんあるので、CAの事例を抽象化して、「自分にマネできることはないか?」と考えてみてください。色々なヒントが眠っていますよ。
Googleの伸びしろはAmazon領域への侵略
GAFAMはどこも好決算ですが、その中でもAlphabetは大幅増収増益になっています。
Strainerの記事では、Googleの面白い取り組みについて取り上げています。
2020年、Googleはショッピングにおける手数料撤廃を発表。これによって「決済」というハードルを大幅に引き下げた。Googleは「決済手数料を取らない」ことで、戦略上より広範な選択肢を取れるようになった。2021年に入るとShopifyとの連携を強化し、Shopify上のマーチャントはシームレスにGoogle広告を出稿できるようになった。連携先はShopifyだけでなく、WooCommerceやGoDaddy、Squareといった事業者も含まれる。多くのマーチャントを迎え入れたら、その先に見据えるのはデータの活用だ。今年発表された『Shopping Graph』は、製品のリアルタイム情報を網羅し、消費者にとって最適な情報を見つけるのを助ける。対象となるのは、何百万人というマーチャントによる240億件もの商品群だ。
簡単にいうと、GoogleはShopifyなどの決済事業者と組むことで、大量の商品売上データを新たに抱えることができるようになります。
要は、これまでAmazonが自社プラットフォーム内でやっていた顧客データのアルゴリズム分析を、より広範な範囲でGoogleができるようになるかもしれないということです。
「敵の敵は味方」とよく言いますが、Shopifyは強敵であるAmazonに対抗するために、Googleと手を組んでいるわけです。Eコマースの陣地争いは、「敵の敵は味方」という視点で、ある程度単純化できるかもしれません。
【スタバ事例】選択肢の見える化は売上アップに繋がる
スターバックスの顧客単価が過去最大になり、売上が大きく伸びているそう。その要因が「モバイルオーダー」です。
スタバのモバイルオーダー、使ったことはありますでしょうか?
個人的に使った感じたメリットとしては大きく3つですね。
・注文の手間が省ける
・店舗で待たなくていい
・自由にカスタマイズできる
とくに3つ目の「自由にカスタマイズできる」点は、ユーザーを不快にさせない範囲で追加カスタマイズを促す巧妙なUIになっています。
実際のところ、カスタマイズの選択肢をハッキリと可視化されないことには、どんな追加オーダーができるのか、分からない人も多いのではないでしょうか?(自分もそのひとりです。)
「お客さんから目に見えないモノは売れないし、売るためには商品を見せる必要がある」というあまりにも当たり前の商売原則をスタバの売上アップ事例は教えてくれています。
スタバのモバイルオーダーはUIUXが素人目でも分かるくらい良く、素晴らしい顧客体験ができるのでぜひ一度使ってみてください!
その他気になるニュース・記事
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2. 今週のクリエイティブ
私の独断と偏見で、好きなクリエイティブをお届けするコーナーです。
このメールマガジンの購読者は、デジタル関係者が多いと思いますが、ぜひオフラインの世界のクリエイティブにも触れ、右脳的な視点でマーケティングを捉えていただきたいと思います。
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