【Vol.8】Marketing Media Lab

ビジネスやマーケティングに役立つ記事やノウハウをお届けするニュースレター「Marketing Media Lab」第8号です。
エルモ@広告屋 2021.03.28
読者限定

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Marketing Media Lab 
Vol.8
( 2021年3月28日発行 )
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1. Weekly Marketing News

Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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では早速、今週の気になるニュースや記事をマーケティング視点で見ていきます。

スーパーから500mlコーラが消える

 全国のスーパーの棚で2021年3月29日を境に、ある“異変”が起きる。見慣れた「コカ・コーラ」500ミリリットルのペットボトルがほぼ消え、350ミリリットルと700ミリリットルの2ラインが中心となる。なぜ売れ筋商品を大幅刷新するのか。その背景には客のニーズの変化を敏感に捉え、「当たり前」を疑った日本コカ・コーラの深謀遠慮があった。
〜中略〜
「新製品の開発ではなく、既存製品の売り上げを見直すことで成長の余地があるかどうか、グローバルで探る動きが広がっている」(安念氏)。既存商品にチャンスはないのか、日本でも2年前からゼロベースでの検討がスタートした。

コカコーラは売上拡大を狙って、500mlコーラを廃止し、350mlと700mlの2ラインナップで販売していくようです(スーパー限定)。

さて、この350ml、700mlコーラは売れるのでしょうか?

スーパーという売り場では、その商品が選ばれるかは、棚に並んだ他商品との相対評価で決まります。(どの売り場でも基本はそうですが。)

たとえば、ペプシ78円、コカコーラ150円で置かれていたら、仮にコカコーラの魅力が高かったとしても、多くの人はペプシに流れたりします。

なので、店頭で商品が選ばれるかは、常に「商品の魅力」「価格」を踏まえた相対的な競争で決まると覚えておきましょう。

ここからは、いくつかの視点で新製品コカコーラを見ていきます。

まずは、アテンションの視点。

大量に商品が並ぶ場では、「いかに目に留まるか?」「ひと目みられるか」が重要になります。

新製品コーラは棚でどう見えるかというと、まちがいなく他と比べて「浮いて見えます」。他社製品が500mlで並ぶ中、コカコーラだけ、「小さい」と「大きい」が混在している形になるわけですから。

その時点で、棚でのアテンション獲得競争では、一歩リードかもしれません。

次に、価格の視点。

価格に関しては、メーカーの卸価格(スーパーに売る価格)と小売店の販売価格(スーパーがお客様に売る価格)の2つがあり、実際にわたしたち最終消費者が接しているのは、小売店の販売価格です。

なので、店頭で実際にコーラがいくらで売られるか?は、スーパーさん次第になります。

個人的な予想ですが、

・350mlは500mlとくらべて割高感(売れにくい)
・700mlは500mlとくらべてお得感(売れやすい)

価格で、棚に置かれるんじゃないかな〜?と思っています。あくまで予想です。

つまり、700mlは価格優位性があり、350mlは価格優位性に欠けるということです。

最後に、消費者インサイトの視点。

2サイズで売りだすことで、異なる消費者インサイトをつけるのが今回のプラス要素に見えます。

350ml:
「私に500mlは多いけど、350mlなら飲みやすい」
「ダイエット中だけど、350mlならいいか〜」

700ml
「どうせなら多いほうがいいわ。」
「持ち帰りやすいレベルで、ガッツリ飲みたい!」

という感じで、2ラインナップ揃えることで、異なる気持ちを抱える消費者にそれぞれアプローチできるようになるはず。とくに、350mlは、「罪悪感帳消し」「これならいいや消費」を促し、これまで500mlペットボトルで飲料を買っていなかった層がコカコーラを選ぶ可能性大です。

最後にもうひとつ

この記事を読んでなるほどと感じたのは、主力既存製品の「売り方」に着目することで、売上アップを狙った視点です。

コカコーラと言えば、檸檬堂をヒットさせるなど、新商品開発に力を入れているイメージでしたが、「売れているもの」をさらに売る方向で、打ち手を考えているのは個人的に斬新でした。

主力製品なので、リスクも大きいですが、コカコーラ本品ほどニーズが大きい商品はほかにありません。今回の2ラインナップ制がうまくいけば、さらに売り上げが伸びそうです。

ダイナミックプライシングの光と影

つづいて、星野リゾートの事例をご紹介。

星野リゾートと言えば、誰もが知っている高級ホテルですが、代表の星野社長は、ダイナミックプライシングとブランディングの狭間で戦っているそう。

 ★ダイナミックプライシングとは★ 
 週末や祝日と平日でも大きな価格差があります。このように一定の稼働率を確保するため、市場の需給関係に応じて価格を変動させることを「ダイナミックプライシング」と言い、それを経営上最適になるように管理することを「イールドマネジメント」と呼んでいます。ホテルは、在庫を事前に蓄えることができない上、繁忙日と閑散日の販売個数が同じであるために、売上最大化の手法としてダイナミックプライシングが必要になるのです。

ダイナミックプライシングとは、要はそのタイミングごとの需要と供給から、価格を変動させる仕組みです。沖縄への週末の飛行機代は高く、平日昼間の飛行機代は安くなるといった感じです。

理屈上は素晴らしい仕組みですが、システマティックに価格を決めすぎるのも、どうやら良くないようで....

 ダイナミックプライシングの考えに基づけば、需要が供給を上回る繁忙日には、需給関係が釣り合うまで価格を上げるのが常套手段になります。しかし、提供しているサービスの内容に差がないのであれば、高い価格になっている繁忙日には顧客満足度は下がります。その度合いが激し過ぎると、将来的にブランド力を毀損しかねません。

星野社長が危惧しているのは、まさにその通り。おなじサービス内容で、価格が倍違うとなると、プライスが高い時期にきたお客様だけ顧客満足度が低く、リピートに繋がらない可能性があります。

一回売り切りのビジネスモデルならダイナミックプライシングのシステムに従って、価格は釣り上げられるだけ上がってもいいのですが、2回目以降の購入を期待するビジネスではブランド毀損を踏まえた人為的なプライシングも必要になるというわけです。

自社の収益(価格)と満足度向上の二兎を追っていく。ブランドの永遠の課題ですね。

ちなみに、以前から星野社長は、週末やGW、お盆正月だけが繁忙期になり、「その時期だけ儲かっても意味がない」と休みの分散を推奨されています。一箇所に集中している需要を分散させた方が、ユーザーもサービス提供者もwin-winになるという話ですね。

Mediumがオウンドメディア業を縮小、編集者は解雇

Mediumというメディアをご存知でしょうか? 

米国発のメディアプラットフォームで、noteのようなものと捉えてもらうと良いです

そのMediumから、自らが運営するメディア部門を縮小し、編集者やライターを解散するというニュースが今週出てきました。

簡単に話を整理すると、

Mediumは「noteのように個人が発信するプラットフォーム」と「Mediumが抱える編集者が発信するオウンドメディア機能」の2つを兼ね備えています。

今回は、そのうち自社が抱える社員が発信するオウンドメディア事業を畳み、よりユーザー発信のプラットフォームに寄せていくという話です。

なぜ今回この記事を取り上げたかというと、「デジタル時代に少数精鋭の編集者でメディアを作り上げる難しさ」を感じたからです。

日本のデジタルメディアでうまくいっているとブランドいえば、日経新聞、NewsPicks、noteですが、後者2つはキュレーションとユーザー発信のメディアです。

情報爆発が起きているデジタル空間では、キュレーションでよそから情報を引っ張ってくるか、ユーザーに情報を発信させるプラットフォーム業をやらないと、他デジタルメディアと競争優位性を確保できない可能性が高いんです。

なぜなら、少数ライターだとコンテンツの質は確保できても、量はどうしても担保できません。私のような個人メルマガならまだしも、法人のメディア事業の集客を自社の編集者だけで賄うのは難しいわけです。

仮に精鋭だとしても、発信者(編集者とライター)の数が限られるオウンドメディア事業では、他のデジタルメディアに太刀打ちできないんじゃないかと、今回のMediumの事業戦略転換であらためて感じました。

参考図書のリンクを貼っておきます。

ECで売れるモノ、売れないモノを把握しておこう

コロナ渦で加速した消費のデジタルシフト。

どうやら業種によって、成長率や「店舗とECの売れ行き差」に違いがあるようです。

どこかで使うかもしれない予備知識として、ぜひ以下のグラフの内容は覚えておきましょう。

アパレルと家電は、買い物がECに振り切っている一方で、飲食料品と医薬品化粧品は対面店舗での売上もEC同様に伸びているという状況です。

食料品、医薬化粧品がどちらも伸びている理由ですが、店舗の需要が強いのと合わせて、外食産業のお金が流入している可能性が高そうです。

コロナ渦でマイナスになった市場のマネーがどこに流れるかを考えると、次の儲かる商売が見えてくるかもしれません。

twitterが商品購入ボタンのテストをスタート

 twitterが、タイムライン上で商品購入ボタン(英語でshopと記載されているそう)のテストをはじめました。ここ最近、twitterはテスト、テスト、テストの連続で話題にこと欠きません。

これから数年で、ソーシャルコマースなるものが主流になっていきそうですが、まだどこも本気じゃないと見ています。というのも、まだどのSNSもクレカを登録できる状況にまで至っていないからです。

 たとえTwitter全体に購入ボタンが展開されたとしても、解決できる問題は一部にすぎない。ナス氏によれば、Twitterに決定的に欠けているのはアプリ内チェックアウトオプション、すなわちクレジットカード情報をTwitterに保存して、プラットフォームを離れることなく商品購入を完了する手段だ。「Shop」ボタンだけでも、ブランドサイトへのクリックはある程度増えるだろう。だが、現在Twitterがテストしているバージョンは、結局のところ単なる外部リンクにすぎない。

 noteで有料noteを買ったり、AmazonやUberEatsでぽちぽちと商品を買ってしまうのは、既にクレカ情報が登録されていて、購買が非常にスムーズだからです。今回のテストはあくまで、「商品を購入する」という外部リンクとのことで、大きな変化は生まれないだろうなと思っています。

 逆に、これからtwitterにクレカ情報を登録して、お金がビュンビュン飛び交うようになると、ソーシャルメディアvs既存ECプラットフォーム(楽天やAmazonなど)の新しい戦いが始まります。

たとえば、今メーカーは楽天やAmazonに出品していますが、ダイレクトにInstagramやtwitterに商品を出品するようになるかもしれません。

デジタルコマースにおいて、トラフィック(見込み顧客)を抑えた人が真の勝者であり、そのトップは既に楽天やamazonではなく、実はtwitterやFacebook、Instagramなのかもしれません。

グローバル経済は全てが繋がっている

マーケティングはほとんど関係ないですが、スエズ運河の座礁事故についてまとめているnoteもご紹介。

・日本を含むアジア諸国にも大ダメージを受ける。
スエズ運河は世界中の船が航行しており、さまざまな物資を運ぶための重要な通路となっています。このまま船舶が動かなければ、ヨーロッパだけでなく、日本を含むアジア諸国にも大ダメージを受けます。
これは日本へ入ってくる輸入貨物に影響を与えることとなるため、私たちの暮らしにも影響を与えるということです。(食品や自動車や家具など入ってこない。)

遠い中東のニュースで、自分ゴト化するのが難しいですが、スエズ運河経由で日本に入ってきている輸入品に影響を与える可能性は高そうです。(このまま座礁し続ければ)

グローバル経済は、互いの良いとこどりで成り立っていて、基本は素晴らしいことなのですが、このように一箇所でもサプライチェーンが寸断されると、最終消費者にモノが行き届かなくなるリスクも抱えているというわけですね。

余談ですが、ここまで高度に密接に各国が繋がった21世紀に世界大戦なんて起きたらどうなるんでしょうね。

そういえば、どこかの著名人が「世界規模で経済を繋げることほど平和になる打ち手はない」と言っていましたが、それは事実なんだと思います。

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2. マーケティングの引き出し

マーケティングに役立つ知識や視点、ノウハウをお届けするコーナーです。
知っていたらどこかで役に立つ、折に触れて思い出したい知識をお送りいたします。
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