【Vol21】Marketing Media Lab

ビジネス・マーケティングに役立つノウハウや視点をお届けするニュースレター「Marketing Media Lab」第21号です
エルモ@広告屋 2021.08.22
読者限定

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Marketing Media Lab 
Vol.21
( 2021年8月22日発行 )
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1. Weekly Marketing News

Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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メルカリの決算発表。ついに黒字化!

メルカリの決算発表があり、はじめて通期の営業利益が黒字になりました。

「むしろ今まで赤字だったのか?」と思われる方も多いかもしれませんが、国内シェア獲得を優先したマーケティング投資と米国事業にお金を投じていたのが原因です。

いまやメルカリは国内CtoC市場ではダントツのシェア第1位。これからはシェア拡大から「機能拡張」に舵を切り、ユーザー1人当たりのユースケースが増えてくるのかなと想像しています。

そのひとつがEC支援です・新・中古品を消費者同士がやりとりするマーケットから、商品全般を扱うマーケットモールに進化しようとしています。

海外進出にせよ、メルカリの事業戦略は見習うべき点がたくさんあるので、どこかで一度まとめたいと思います。

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衰退マーケットで成長し続けるイエローハットの戦略とは?

自動車離れが加速するなか、売上・利益を拡大しているカー用品販売イエローハットの戦略について取り上げたStrainerの記事です。

長らくイエローハットは業界2番手だったのですが、業界No.1のオートバックスを抜き、今では営業利益は業界トップになっています。(売上はオートバックスが一位です。)

リーマンショック後の赤字からイエローハットがV字回復した戦略がこちら。

・赤字の海外事業と輸入車の販売リソースを減らす
・居抜き物件でコストを抑えて出店
・店舗の小型化で、店舗数を積極拡大

カー用品というと、大きな店舗を構えているイメージがありますが、イエローハットは居抜き物件をそのまま使いコストを抑えながら、店舗の小型化で顧客接点を面で抑えにいっています。

実際、小型店舗を増やしたことで、イエローハットの店舗数は業界No.1オートバックスの1.5倍近くまで増えています。

この店舗数を増やした狙いは、以下のように捉えられています。

趣味として車の装飾品を探しに来る人は減り、「壊れた部品の交換」など明確な目的を持って訪れる顧客が増えた。わざわざ賃料の高い大型店を構え、様々な商品を取り揃える重要性が薄れている。

利益が右肩上がりに増えているのは、自動車離れとともに起きた顧客ニーズの変化をうまく捉え、「アクセスのしやすさ」に重きを置いたイエローハットの戦略勝ちだと思います。

イエローハットに限らず、「コストを抑え小型進出」「顧客接触機会の面を増やす」は今の時代にあった戦略です。自分のビジネスにうまく転用できないか、ぜひ考えるきっかけにしてみてください。

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フリークアウト決算の注目はタクシー広告の復調!

アド(広告)テクノロジーを開発するフリークアウトが好決算を発表しました。

売上高:218億8600万円(前年同期比+17.2%)
営業利益:8億6100万円(同+668.8%)
経常利益:10億3100万円(前年同期は▲7400万円)
純利益:7億5200万円(前年同期は▲4億3800万円)

個人的に気になったのが、タクシー広告売上の回復です

広告業界で、コロナの影響を受けることなく成長を続けているのがデジタル広告で、その理由は広告接触量が人流に影響を受けていないからです。

逆に、雑誌や電車、屋外広告はもろに影響を受けて、売上が激減しています。

この視点でいくと、タクシー広告も大きなダメージを受けてもおかしくなさそうですが、影響は限定的なようです。

・タクシーに乗る人が実は減っていない(これはなさそう)
・テクノロジーの進歩で、タクシー広告の効率が上がっている
・タクシー広告を販売する営業マンが有能(笑)

などなど、いくつか堅調な理由はありそうですが、人の移動に依存するダウンサイドリスクよりも、タクシー広告の性能向上が上回っており、タクシー広告市場が成長していると捉えて間違いなさそうです。

一応、広告屋としてつけくわえておくと、タクシー広告は社長などの意思決定者ターゲティングや、TVCMのテスト的な位置付けで有効活用できたりします。

ただこのベネフィットを踏まえても、タクシー広告市場がコロナの影響を受けていないのは、私としては超意外でした。

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「脱成長」を掲げる人は、だいたいポジショントーク

こちらは、地域ビジネスのプロ木下さんの「脱成長」に関するnote。

脱成長や資本主義の限界を説く人がよく現れますが、「なぜそういう発言に至るのか?」を考えると、脱成長が彼らにとって都合の良い意見だからと語っています。

脱成長だー、そんなこといっている人のお話をきいていると、大抵は自分は安全地帯に常にいられると勘違いしているものばかりだったりします。もしくは、既に成功していて自分の地位が安定化すると思っていたりします。

つまり、既得権サイドにとって、まわりが成長を目指さないほうが、自分は相対的に良いポジションを維持できるということです。

たとえば、1日1%の成長を毎日続けたら、1年後に37倍(1.01^365)になります。

高成長は期待できないものの富が豊富にある者にとっては周囲の成長こそが脅威なわけで、「資本主義の次に来るものを探そう」という人たちは、自分たちがその地位に安住するためのポジショントークだと思っていた方が良いのかなと思います。

もちろん、日本が低成長のマクロ環境なのは言うまでもない話なのですが、そこで彼らのポジショントークに乗っかって低成長のままを良しとするのは、少なくとも今の40代以下の人たちにとっては後々ハシゴを外される展開が訪れるかと感じます。

脱成長の視点や考え方は持ちつつ、最低でも成長市場に片足は突っ込んでおきましょう!

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その他今週の気になった記事・コンテンツ

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2. マーケティングの引き出し

マーケティングに役立つ知識や視点、ノウハウをお届けするコーナーです。
知っていたらどこかで役に立つ、折に触れて思い出したい知識をお送りいたします。
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今日は、マーケターこそアナロジー(類推)やメタファー(隠喩)が大切だよねという話をしたいと思います。

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続きは、3255文字あります。
  • 「現代人はバックミラーに映った過去を見つめながら、未来に向かって後ろ向きに突き進んでいる」

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