【Vol3】Marketing Media Lab
【Vol3】Marketing Media Lab
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Marketing Media Lab
Vol.3
( 2021年2月20日発行 )
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■目次■
…1. Weekly Marketing News
…2. マーケティングの引き出し
…3.今週のクリエイティブ
…4. 今週の1冊
...5.今週の雑談
…6. Q&Aコーナー
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1. Weekly Marketing News
Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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早速、今週の気になるニュースや記事を取り上げていきます。
ファーストリテイリングの時価総額がアパレル世界一に
今週2月16日に、ユニクロを展開するファーストリテイリングの時価総額がZARAを抜いて、アパレル業界で一位になりました。グローバル企業の大半が米中のなか、あるカテゴリーで日本企業が世界一になると言うのはシンプルに日本人として嬉しいニュースだと思います。(※ちなみに、売上はまだZARAが上です。)
本日は、ユニクロにまつわるトピックを2つ。
他社は「服に拘りのある人」を年齢、属性、好みで細分化しブランド開発してたがファッション考えたくない、選ぶのがストレスな消費者が大多数と見極め、彼らが買う戦略を考えた
なるほど。まさに、ユニクロは「服に興味がない」マス層獲得を目指し、他のアパレルブランドと真逆の戦い方をやってのけたのだと思います。
ちなみにこの戦い方、「絶対に必要なモノ」「でもこだわりがない」の2要素を満たしているカテゴリーなら、どこででも応用が効きそうです。例えば、散髪屋のQBハウスは、「安い」「時短」と髪型に興味がない層をターゲットにしていて、ユニクロと同じ戦略をとっています。
改めて、ターゲット設定ひとつでマーケティングが大きく変わることを実感させられた視点でした。
もうひとつ、「2030年 アパレルの未来」から興味深い図をご紹介。それがこちら。
2030年 アパレルの未来
これからの10年で、アパレル業界は2極化が進むことを表した図です。マスブランドは市場シェアを拡大し、ラグジュアリー市場は統合が進み、中間ブランドは個人ブランドにとって代わると予測されています。
深掘りすると、良いモノを安く作るグローバルマスブランドが「機能ニーズ」を満たし、人の共感を生む個人ブランドは「情緒ニーズ」を満たしていく、というのがあらゆる業界のトレンドになるのではないでしょうか?
ユニクロに関しては、この図でいうグローバルSPAのポジションを確立したということになります。あっぱれです。
D2C北の達人が、地方ラジオ局を買収
D2Cブランドの「北の達人」が北海道のラジオ局を買収すると言うニュースが飛び込んできました。いわゆる通販企業がラジオ局を買収するということで、どうシナジーを生むのか謎だったのですが、よくよく考えてみると筋の良い打ち手に思えてきます。
■M&Aで起こせるシナジー(予想)
・マス媒体にデジタルマーケティングの知見を活用し、ビジネスを効率化
・いまや地方のラジオ局も、ネットラジオで全国と繋がっている
・ラジオは、通販の販促との相性が良い
などなど、一見縁遠いように見える、D2Cと地方ラジオ局ですが、メリットはたくさんありそうです。
ちなみに、みなさんご存知「ジャパネットたかた」の源流もラジオ通販にありまして、「ラジオ→テレビ通販→ネット通販」という拡大の歴史を辿っています。ネットで成りあがった北の達人が、ラジオに回帰しているところに、歴史の回帰性を感じるところです。
このニュースに関しては、noteに詳しく見解もまとめておりますので、よかったらどうぞ。
電通の決算資料を見てみよう
次が、電通決算資料の考察記事。これ、メッチャ面白かったです。電通が大赤字(その大半が海外事業の減損)をこいたニュースがネットでは飛び交っていましたが、もっと大切で、本質的な話がこのnoteには書かれていました。
やや苦し紛れに、市場の成長でアップサイドを訴求していますが、電通の問題は市場が成長しないのではなく、成長市場における競争力がないことですので、これは全く説明になっていないと思います。
色々と成長の話は触れていますが、結局構造改革の話しかできていません。個人的には危機感は伝わってきますが、本気で変革していくための道筋はまだ見えていない。前向きに捉えれば、まず構造改革をして株主の信任を勝ち取ってからと言いたいところです。しかし、時間軸を示せていないこと、それ以上に市場の変化の速度が速いことからすると、「本気度」はまだまだ不十分ではないかというのが私の評価です。
このご指摘は、日系大企業にお勤めの方は強く共感するのではないでしょうか?笑
①自社の問題は、成長市場に対して競争力を持ち得ていない
(ゆえにM&Aに走るも、高値掴みされて失敗)
②成長を宣言するも、時間軸を示せておらず、目標が曖昧
成長が鈍化している企業、個人の問題はこの2つに集約されます。裏返すと、この2つさえ明確になれば、勝ち筋はいくらでも見えてくるわけなので、今くすぶっている個人、企業は①②について真剣に考えてみるのが良いと思います。
リスクとシェアはトレードオフ
こちらは、stand.fmで音声配信されたコンテンツの文字起こし記事です。
M&Aでもそうだし、広告宣伝費の投資でもそうだし、人材投資でもそうだし、マーケティング投資でもそうですね。営業の投資でもそうだし。すべてが、何かが明らかになる前に先にリスクをとった会社が大きなシェアをとる。ただ、リスクを早くとりすぎると明らかになってない、Provenじゃないところにリソースを突っ込んじゃうんで大きな損失を被る可能性があるんですよね。これがスタートアップの本質的難しさであり、経営者が見極めるのはたった3ヶ月たった半年早く決めたことによってめちゃくちゃシェアに差が出るみたいなそういう質の良いリスクを探してとるべきなんじゃないかっていうのが、最近話す一般論の中で思うことです。
先んじて踏み込んだプレイヤーが2番手3番手を置き去りにしNo.1になれるって話なんですが、リスクテイクとシェア(果実)ってやっぱりトレードオフで、失敗する可能性もデカいんですよね。ゆえに、リスクをとってシェアを奪いに行くのは、アート領域だと思っています。
ちなみに、広告の話をすると、記事でも紹介されているメルカリはCtoCマーケットが成熟する前に、ドカンとTVCMを打って結果的に圧倒的ポジションを築きました。
(別にCMを打ったらシェアが取れると言いたいわけではなく、むしろ逆で、普通はサービスが整っていないスタートアップがマス広告を使うと、お金を湯水のように流すオチになります。そこをメルカリは黎明期ながら、「今なら誰もマス広告をやっていないし、たくさんの人がやってきても、継続的に使ってもらえるレベルまできた!」の絶妙な意思決定がへて今があるわけで、経営レベルの判断って本当にすごいなとしみじみと感じております。なんか、変な感想文みたいになりましたね。すみません。)
アンカージャパン猿渡さんのインタビュー記事
次に、Anker Japanの猿渡さんのインタビュー記事。Ankerのマーケティングに加えて、猿渡さんのキャリア観について知るまたとない機会で、若手ビジネスマンは必読です。
個人的に納得感しか感じなかったのがこちらの文章。
Q.働き方改革が推進される中で、猿渡さんご自身が経験してきたような働き方を従業員に求めるのはなかなか難しいと思います。その点をどうお考えですか。
A.そこは人生の選択で、例えば達成すべき目標が100のときに能力が10なら10時間働ければ良いし、能力50の人は2時間で良いと思います。ただし、能力50の人が10時間働けば目標の5倍の500を達成するわけですから、私はその人を評価すべきでしょう。判断はアウトプットのトータルで行うべきで、その基準が明確でないとどれくらい働けば良いのかわかりにくくなり、無駄な残業が発生しがちです。
私自身も働き方改革の影響を受けている身なのですが、忘れてはいけないことがふたつありまして、
・評価はつねにマーケット(クライアントや最終消費者)が決める
・マーケットは最終アウトプットでしか判断しない
の2点です。社内評価や身内の論理は、生産性なども評価の観点になりますが、受け手が評価するのは最終アウトプットとなる生産高ただ一つです。
ユニクロが10分で作ったすぐに破れるTシャツを売ってても買わないですよね? 私たち消費者からすると、生産性(生産高/投下リソース)というのは、商品の良し悪しを決めるモノサシになり得ないのです。
なので、効率化も非常に大事なのですが、大前提として「このアウトプットはそもそも受け手が満足しうるモノなのか?」は常に自問自答した方が良いと思います。
twitterの今後の動きについて
次に、twitterがこれからどのような道を歩むのか?を体系的にまとめてくれた、これまた良記事です。
2万字くらいある文章でとても読み応えがあったのですが、ワントピック取り上げるならこの図ですね。
twitterの強みは、どのプラットフォームよりもトラフィックを抑えており、かつ各コンテンツプラットフォームへの起点になっている点です。
良記事に飛ぶにも、Clubhouseに行くにも、その発見の場はtwitterなのです。で、今までtwitterはみすみす他社コンテンツに自由に飛ばさせていたのですが、自前でコンテンツプラットフォームを用意して、「ディスカバリー→コンテンツ→クリエイター」をtwitter上で一気通貫して取り扱えるようになるのではないか?、そう考えるとtwitterってチャンスがデカいよねって話です。
これまで、twitterは広告マネタイズが下手くそと言われていたのですが、「広告モデル→クリエイターのダイレクト課金モデル」にビジネス構造が変わろうとしているいま、これからがtwitterの全盛期になるかもしれません。
インフルエンサーの生存戦略
最後に、私のアイコンを描いてくれた友人、漫画家根田さんの記事を紹介します。私のアイコンを描いたことで、何か発見があったようでして、その考察をまとめてくれています。実に面白いです!
(※友人と呼んでいますが、会ったことはありませんw)
このnoteで面白いと感じたのは2つで、
①ゆるいステークホルダーができると、緊張感が生まれる(頑張らざるを得ない)
②クラスタ(または個人)の生存戦略は、関係人口を増やすこと
根田さんは、私のアイコンを描いてから、良い緊張感を得たらしいんですね。「他人の顔を描いておきながら、自分は変な仕事はできない」って感じでしょうか。
これ、インフルエンサーの生存戦略そのものだと思うんです。どういうことかというと、自由に生きる個人に必要なモノは、自分をストレッチさせてくれるほどよい緊張感です。で、この緊張感の源泉がどこにあるかというと、「相手に対する責任感」ではないでしょうか?
相手への責任感を持つきっかけとなるのが、コラボだったり、単発のお仕事が発生した瞬間ですね。たとえ単発イベントであっても、「あの人とあの人は繋がっている」という実績は残り続けますし、お互いに「相手の顔に泥はぬれない」という緊張感が生まれるわけです。
このゆるいステークホルダーが、自分を奮い立たせるきっかけになり、カテゴリー外との交流によって、影響力を高めることにも繋がります。
ここで、ゆるい繋がりがマイナスに働いた事例をご紹介します。
終身雇用はなくなる、ベーシックインカム、預金課税導入。政治に関心を持たないのは勝手だが、関係がないとは思うなよー。
youtu.be/YPX4nbWQoE4
経歴詐称で大炎上した竹花さん、そして当人とコラボしていた石破さんは一時期だいぶ叩かれていましたよね。
こういうコラボをしたら、普通は「石破さんの顔に泥はぬれないし、これからも誠実に、自分にできる仕事をやっていこう。」という緊張感が生まれるわけです。
結論、何が言いたいかというと、誰かとコラボをすることは、自分の活動に緊張感を与え、さらに影響力の輪を広げることができるので、一石二鳥なんじゃないか?という話ですね。
影響力と自分の実力を高めるために、積極的に人には会いにいくようにしたいものです。
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2. マーケティングの引き出し
マーケティングに役立つ知識や視点、ノウハウをお届けするコーナーです。
知っていたらどこかで役に立つ、折に触れて思い出したい知識をお送りいたします。
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