【Vol.9】Marketing Media Lab
こんにちは、エルモです。
先週は、ニュースレターの配信ができず失礼しました。
妻と昼から飲み歩いていたら(5軒くらいハシゴしました)、翌日二日酔いでニュースレターを書き上げる気力を失っていました.......
はい、ごめんなさい。今後は毎週配信していきます。
では、Maketing Media Lab 第9号、どうぞ!笑
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Marketing Media Lab
Vol.9
( 2021年4月12日発行 )
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1. Weekly Marketing News
Weekly Marketing Newsでは、今週1週間の注目ニュースや記事を取り上げます。このコーナーでは、直接的なマーケティング記事だけではなく、いずれあなたのマーケティング活動に役立つ情報・視点を(独断と偏見を交え)お届けます。俯瞰的なモノの見方を身につけ、長期で役立つマーケティングOSを身に着けていただければと思います。
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テレビ画面の役割、半分はネットコンテンツのため
フリークアウトが、コネクテッドテレビ(要はインターネットテレビのこと)に関する調査を発表しました。AmazonプライムやNetflix、Ameba TV、Huluなどをテレビ画面で見ているか?という調査です。結果は以下の通り。
今回、フリークアウトが行ったコネクテッドテレビ市場調査によると、コネクテッドテレビデバイスを利用している消費者は57.8%と、半数以上を占めるということがわかりました。また、コネクテッドテレビデバイスを利用している消費者のうち、テレビデバイスでテレビ番組を見ている時間が一日平均約122分に対して、テレビデバイスでインターネット動画サービスを見ている時間は一日平均約72分という結果を得ました。
半数以上がコネクテッドTVを利用して、テレビがついている時間の3分の1はネットテレビのコンテンツが流れているようです。
ネットテレビが無限のコンテンツ在庫を抱えているのに対し、テレビが提供するコンテンツはその瞬間に6つだけ。(地上波だけで見ると)
この構造的な問題がある以上、いずれテレビ画面で見られるコンテンツがネットTV主流になることはほぼ間違いありません。
このあたり、ネットコンテンツがテレビ市場に侵食してきている以上、テレビ局はネット市場に出向かないといけないのですが、なかなか進んでいないのが現状だったりします。
テレビ局が生き残るための方法
広告業界の重鎮、ベムさんが寄稿したテレビ局が生き残るための方法論をまとめた良記事です。コンテンツ業界に興味がある人は、絶対に読んでみてください。
ちなみに、テレビというと斜陽産業のように語られていますが(実際にそうなんですがw)、テレビCMに変わる動画広告市場はいまだネットには存在しません。
動画CM市場におけるテレビとデジタルを俯瞰した時の「量」(CM在庫量)ですが、テレビCMは関東地区で4週間に約1200億インプレッションに到達しています。関東1都6県の人口は全国の34.1%なので単純計算ですが、全国では約3500億インプレッションある勘定になります。安心して広告掲載できる、これだけの動画CM枠はデジタル上にはまだありません。
つまり、「動画広告プロモーション」という区切りにおいては、いまだにテレビが圧倒的な競争優位性を持っています。
ただ、この「競争優位性」。競争によって勝ち取ったモノではなく、放送法、電波法に守られてきた独占的利益だったりします。「実はテレビ局には、競争力を獲得した経験がない」。ここが、個人的なテレビ業界の真の課題だと思っています。
少し話が横にずれましたが、今回紹介した記事では、テレビが動画広告が「量」という観点で競争優位性を持っている間に、先んじて新しい施策を打っていけという提言をしています。それが以下の7つ。
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強力なプロCDO(最高デジタル責任者)を招聘して、データで視聴層セグメントとコンテンツ開発ができる人財に入れ替える。
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放送でのCM枠(特にステーションブレイク※番組と番組の間の枠)を減らす。
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SAS(スマート アド セールス)を普及させ、同時配信枠にも拡張する。
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番組ネイティブCMを自社制作する機能を格段に向上させる。
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同時配信に積極的に取り組み、ローカルネットワーク体制維持に拘らない。=同時配信ではしっかり同意をとって視聴者とCMのマッチングを図り、効果的な広告商品をつくる。アドレッサブルCM(視聴者の属性に合わせて個別にCMを届ける)を開発する。
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制作費を倍増させても回収できるモデルを確立する=放送CM収入や従来のコンテンツビジネスだけで回収しない「紙芝居モデル」開発(後で元を取る)。
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BS放送から撤退する。
もし一つでも気になるものがあれば、ぜひ本文をご覧ください。
Clubhouseバブル、真の勝者はVoicy
次に、音声メディアを運営するVoicy緒方さんの記事。この2,3ヶ月でVoicyユーザーが激増したようです。
実はVoicyの緒方さん、Clubhouseが盛り上がり始めた頃から、毎日のようにClubhouseに入り浸っていました。
先ほど彼のアカウントをみたところ、twitterフォロワーが2.4万であるのに対し、生まれて間もないClubhouseフォロワーは7.3万人。いかに彼が、Clubhouseで発信活動に力を入れていたか?がわかると思います笑
その結果がこちら。
1月末から2月にかけて主にClubhouseにおける社長発信とPRにアクセルを踏んだ結果、
・メディア掲載 41件
・ユーザー数 60%増
・かけたコスト 0円
という成果を得られました。
数年やってきたプラットフォームのユーザーが2ヶ月で60%増える、これは控えめに言って異次元な成長です。
一見、競合に見えるClubhouseとVoicyですが、積極的にClubhouseに乗りこみ「音声の第一人者ポジション」として発信した形ですね。
・リアルタイム参加が求められるClubhouse
・いつでもコンテンツが置いてあるVoicy
というメディアの違いを活かし、「Clubhouseで聴くモノがないから、Voicyに行こう」と流れを作ったのは、実に巧妙なマーケティングだったと思います。
「伸びている市場では、競争ではなく共創がベストプラクティス」とあらためて感じた事例でした。
余談
Voicyのライバルと言えるstand.fmがClubhouseバブル前後で、どれくらい伸びたのも気になりますね。他音声メディアも少なからず伸びているはずなので、stand.fmの成長率との差し引きが、Voicy緒方さんの営業活動によるリアルなマーケ成果と言えると思います。
D2Cブランドの終わりを語る希少なnote
D2CブームでたくさんのD2C情報が流れてきますが、終わりを告げる発信はごくわずか。さらに、その詳細を語る記事はほとんどありません。その意味で、こちらのnoteはとても貴重な情報だと思います。
RETOIROさん、デザイン面では、海外雑誌に取り上げられたり、日本国内でも賞を受賞するなど、かなり注目を浴びていたよう。それでも、クローズせざるを得なかったというのが、商売の難しさだなと痛感します。
決して「デザインは軽視して良い」というわけではありません。しかし、真に顧客が求めているベネフィットは何か?、そこを突き詰めたうえで、デザインがその一部を担っていなければ、なかなか売りには繋がらないのもまた事実なんだと思います。
注目メンズコスメの市場規模感を知っておこう
バルクオムが調査会社を通じて、2020年のメンズコスメ市場の売上高を発表しました。
新しい市場と言えるメンズコスメ市場の規模感はぜひ頭に入れておいてください。
2020年の年間売上は2019年と比べ約150%増となり、2020年の全製品の出荷総数は290万本を記録しました。その中でも主力製品である【THE FACE WASH】(洗顔料)は、2020年だけで98万本を出荷、累計でも200万本を突破しました。
2020年:スキンケアアイテム通販チャネル(全価格帯)TOP5(単位:百万円)
2020年:ヘアケアアイテム通販チャネル(3000円未満)TOP5(単位:百万円)
D2CメンズコスメのNo.1ブランドバルクオムで、スキンケア売上で25億、ヘアケア(シャンプーとか)で10億円ほど。
この売上規模感をどう捉えるか?は、人によって差が出るだろうなと思います。
ちなみに、バルクオムはかなりの売上を広告費で買っている気がします。ニーズ視点のリアルな市場実態はもう少し低く見積もった方がいいだろうなと見ています。
SNSクリエイターはファンを分けてマネタイズ
海外の記事に面白い図があったのでご紹介。
クリエイターは、ファンの質に合わせて、マネタイズ手段を複数持ち合わせよう!って話です。
As a creator, your fans have different willingness to pay
Casual fans aren’t willing to pay anything..
Active fans are willing to pay a small amount.
Super fans are willing to pay a lot.
クリエイターとして、ファンはお金を払うことに異なる意思を持っている。
カジュアルファンは、何も払うつもりがなく、
アクティブファンは、少額のお金を払う気があり、
スーパーファンは、たくさんのお金を払うつもりだ。
・コアファンからはNFTや作品を高額販売
・アクティブなファンからはサブスク課金でマネタイズ
・ただコンテンツを見るだけのファン層は広告マネタイズ
個人クリエイターとして活動している人は、無意識のうちに実践していることではないでしょうか?
ファンの熱狂具合に合わせて提供商品(価値)を変えていく。まだ実践できていない方は、ぜひ参考にしてみてください。
雑誌を救っているのは、コンテンツではなく付録
ソーシャルメディアでの個人発信が主流になり、雑誌の売上が激減、休刊が相次いでいるという記事。
そんな雑誌を救っているのはどうやら付録のようです。
女性誌の世界を実際に救ったのは、意外だけれど「付録」であった。付録は少女雑誌だけのものではもう全くなく、今や大人が大喜びするものとなっているのだ。毎号豪華な付録をつけることで飛躍を見せたのが宝島社。10代から60代まで、10年ごとにターゲットを変えた女性誌をエスカレーター的に作り、今や揺るがぬ存在となっている。小学館や集英社といった大手も付録に積極的で、ポーチやバッグ、化粧品や美容小物はもちろん、時計や傘やストッキング等の雑貨まで今や何でもあり。情報の速さで負けても、物品提供は雑誌の独壇場。少女の心なのか、タダが好き(タダじゃないけど)、オマケが好きという心理なのか、正直似たような雑貨が市販されていて大した金額でなくても絶対買わない、それを付録で手に入れることが女性たちにはたまらなく快感なのだ。
そもそも、SNSのように無料で見れるコンテンツに対して、雑誌は有料課金コンテンツ。その時点で分が悪いわけで、「付録」で他コンテンツと差別化を図っているのは賢いなと思います。(付録の投資コストを回収できているのかはわかりません。)
私は常々、「メディア付きのプロダクト」と「プロダクト付きのメディア」を行ったり来たりすることで、売り物のスイートスポットが見つかるようになると言っています。
どういうことかというと、仮にメディアとしての競争優位性を失ったとしても、プロダクト側にメディアを寄せることで、「これまでと違って見える」「新しい価値が生まれる」ことがあるんじゃないか?という話です。
冒頭のテレビの事例で見てきたように、オフラインがオンラインと真っ向勝負をすると、量とスピードでぼろ負けするので、違う立ち位置で戦った方が良いって話ですね。
テレビと違って雑誌は手に取れる有形物です。戦い方によっては、うまくネットメディアと差別化する手段はまだ残されているように思います。
いま米国でニュースレターが注目されている理由
私をニュースレターサービスthe Letterに誘っていただいたitaruさんの記事。
ニュースレターがいま再び米国を中心に流行り始めている理由について語っています。
アルゴリズムではなく、自分で情報を選ぶ時代
自分の興味・関心に合わせて、人気コンテンツをアルゴリズムに選んでもらう。これが当たり前になったことは、情報が溢れる時代にはありがたいことです。しかし、Attention Economy の負の面で、必ずしも信頼できる情報がオススメされるとは限りません。
ニュースレターへの登録はつまり、自分が気に入った書き手 / パブリッシャーを選び、プラットフォーム上以外で直接関係を結ぶということです。注目を集めることがメインではなく、読者のために書かれたコンテンツは良質であることが多く、しかもコンテンツが勝手に届くので、SNS や Web サイトに直接見に行く手間もありません。
アテンションエコノミーの反動で、よりクローズドなニュースレターに人が戻ってきているという話です。
ちなみに、日本の場合、このアテンションエコノミーの反動先が分散しています。たとえばオンラインサロンとかですね。
サロン文化は日本固有なものらしく、アメリカや中国では全く流行っていないらしいんです。なので、今日本のサロンに集まっているエネルギーがニュースレターに向かっていると考えると、米国でニュースレターが注目されるのも頷けます。
ちなみに、アメリカでオンラインサロンが流行らない理由は、コミュニティ運営がメンドウだからだと思います笑。個人的な予想でしかないですが。
話が逸れました。このような背景の違いがあるので、日本でのニュースレターブーム、米国ほどは来ないと見ています。とはいえ、今はショートムービーや音声ブームで「書くこと」の市場がガラ空きになっているので、ライティング発信自体はコスパ良いと思います。
ぜひ、読者の皆さんも、ブログでもnoteでも良いと思うので、書いて発信してみてください。思考の整理と記憶の外付けハードディスクとして、ネット発信は非常に優秀なツールだと思いますよ。
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2. マーケティングの引き出し
マーケティングに役立つ知識や視点、ノウハウをお届けするコーナーです。
知っていたらどこかで役に立つ、折に触れて思い出したい知識をお送りいたします。
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